ひまわりの丘
でも彼は、そっかぁと呟いて
「えっとね ――」
と、左の掌に右手の人差し指でなぞりだした。
「クスノキは“木ヘン”に“南”のこれ。ソウタのソウは“草カンムリ”に“倉”。タは太いって字ね。
楠 蒼太です、どうも。由那ちゃんっていくつだっけ?」
「16です」
「マジ!? じゃ、言うの止めよっかな」
「なにを?」
「俺の、年」
なんて、わざとに拗ねた真似をするから、ちょっと責めたくなった。
「えーっ! 訊きたい!」
「……ハタチ、なんだ」
「なぁんだ。全然若いのに。どうしてすぐ言わないんですかぁ?」
「だって16って反則でしょーっ」
二人でコロコロと笑い合っていたら急に思いだして、あたしは尋ねることにした。
「あの、マサキって誰ですか?」