ひまわりの丘
「蒼太君はどうして、北海道へ来たの?」
「小学校の時の夏休みに、旅行先でひまわり畑を見たんだ」
「ここ?」
「ううん。別の町だったんだけど、一面にズラーってすっごい綺麗でさ」
そして遠くのほうを見つめた。
「休学することを決めた時思いだしたんだ。それでネットで検索したら、ここがヒットして。
あの時に行った所より小さい町だけど、却ってその方ほうがよく思えた」
安らぎを求めてこの土地へ来たのかな……。
横顔を伺うと、彼はちょっと物憂げな顔をしていた。
「牛舎の作業だって、そんなに気負うことなんてない。
それでね、たまにはこうやってのんびりする時間を持つのも悪くないんじゃないかな?」