ひまわりの丘
筋肉が施された二本の腕に両肩を掴まれ、もう一度向かい合う。
首にかけたタオルで、あたしの鼻先を拭った彼。
薄ピンク色の口もとが微笑んで、色素の薄い前髪が揺れた。
同時に、嗅ぎ慣れたシャンプーの香りも揺らぎ、片手が伸びてきて、あたしの髪をすくう。
長い指が毛先を弄ぶようにゆっくりと動いて、顔の前で止まった。
そして、そこに顔を近づけた彼が言ったの。
「同じ香りがするね」って。
初めて目が合ったその瞬間。ドクンと心臓が大げさな音を立てて跳ねたんだ。
「ご、ごめんなさいっ!」
どうしてそんな言葉を口にしたのか、なんてわからない。
ただ、これ以上この場にいるのは無理で、とにかく急いで部屋を飛び出したの。