ひまわりの丘

その後、伯母さんの家を追いだされたあたしは、小学校入学と同時に島根の松江にある沙織さんの実家へ預けられることになる。

でも一年も経たないうちに、施設で暮らすことに。

それは、お祖母ちゃんが亡くなって、お祖父ちゃんが老人ホームへ入ることになったから。

沙織さんは、お祖母ちゃんのお葬式にも顔を出さなかった。


やっと姿を現したのは、あたしが小学校五年の時。

初めて目にする母親の姿に、驚きと戸惑いが入り混じって言葉が出なかった。

でも沙織さんは、そんなこっちの心情なんて気にする様子もなく言ったんだ。


「由那、一緒に暮らそう」


こんなに長い間ほっといたくせに。
当たり前のことのように、表情ひとつ変えず、たったの一言だけ言ったんだ。

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