ひまわりの丘


リツコちゃんの家を出る時、時計の針は十時を回っていた。

この時間になるとようやく、外の気温も過ごしやすく感じる。


「暗いから、足もと気をつけてね」


街灯の少ないこの辺り。蒼太君はいつもの優しさで気づかってくれる。


「りっちゃんとアドレス交換したの?」


蒼太君が訊いてきた。

さっきリツコちゃんに、携帯の番号とアドレスを教えてもらったんだ。

うん、と答えると蒼太君は「いいなぁ~」って、本当に羨ましそうな口ぶりで言う。


「あ。蒼太君もりっちゃんのアド欲しかった?」


真面目に尋ねたら、彼はぷっと吹き出した。


「由那ちゃんて、意外に天然のとこあるかも」

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