ひまわりの丘

「ねぇ、描かせてよ? あんたの絵」


急に甘えた声を出す。

あたしは隼太から視線を逸らして、洗い物を始めた。


「キレイに描いてあげるから」


描いてあげる、なんて何様のつもり?
こっちから頼んでるわけでもないのに。


「あんた自身の素材もいいしね」


それに。さっきから『あんた、あんた』って、耳障りなんだけど。

前に蒼太君が、ちゃんとあたしの名前を教えたはずなのに……っていっても覚えてるわけもないか。

黙ったままでいると、あきらめたのか隼太は席を立った。

< 78 / 212 >

この作品をシェア

pagetop