ひまわりの丘

ちょっと呆然……としていると

「彼女は、チョウさんの孫娘のナナちゃんだよ」

って蒼太君が苦笑した。


「美容師目指しててね、釧路にある美容学校へ通ってるらしいんだ」


美容師ね……それで、あの髪なわけか。

視線を向けると、金髪のショートボブの彼女は、もう結構遠くを歩いていた。


「ねぇ 蒼太君、丘の上って?」

さっきのナナとの会話を思いだし訊いた。

「隼太のアトリエのこと。ひまわり畑の奥に小さな丘があって、その上に小屋が建っているんだけど。サキさんの家からも見えないかな?」



すっかり忘れてたけど、前にサキさんが言ってた。

『ひまわりの咲くころに帰ってくるかしら』

……あれって、隼太のことだったんだ。


「アトリエっていうのは?」

「隼太、あー見えて絵描きなんだよ」

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