ひまわりの丘
翌日、蒼太君は東京へ発った。
飛行場から戻ると、サキさんが出かける支度をしているところだった。
「どこかへ行くの?」
「キョウコちゃんのお宅に、お野菜をもらいにね」
「それならあたしが行くよ。外は暑いし」
「じゃあ、ついでで悪いんだけど、あれも頼まれてくれるかしら?」
サキさんはそう言って、台所に目をやった。
流し台の上に置かれていたのは、大判のハンカチに包まれた四角い物。
「これのこと?」
「届けてほしいの」
「キョウコさんのところでいいの?」
「ううん、それは丘の上に。お弁当なの」
―― 丘の上?