ひまわりの丘

変な勘違いをされても面倒だし。だからあたしは、声を張り気味にして言った。


「サキさんがお弁当だって。あたしは、これを届けにきただけだから」


だけ、というのを若干強調して。


するとナナはそれを聞いて安心したようで

「バイバイ隼太、また来るネェ」

ニッコリ笑って出て行った。


そして「それじゃ」って後に続こうしたら、後ろから手首を掴まれたの。

思わずビクッと肩が震えてしまったあたし。振り向き尋ねた。


「なに?」

「用事、まだ終わってないし」

「あたしは、終わったけど」

「俺は、終わってない」

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