ひまわりの丘

なんなんだろ、この目は。

顔を覗きこまれるように、真っ直ぐに見つめてくる。

心臓がちょっとバクバクってして、とても視線を合わせてられない。

あたしはこいつのこの目に、強くない。


「離して?」

「離したら、アンタ逃げるじゃん」

「……逃げないから、離してよ」

「ホントに? 誓える?」

「……うん」


スルッと隼太の指が解かれる。


「適当に座ってよ?」


さっきとはうって変わって、無邪気な笑顔になる隼太。コロコロと表情が変わって、何を考えているのかわからない。

だから苦手だと思うのに。


窓際にある手作り風の椅子の横に立って尋ねた。


「用事ってなに?」

「一人でメシ食っても美味くないから、一緒にいてくんない?」


今度は母親に甘える子供みたいで、なんとなく断れない気分にさせられた。仕様がないなって、そんな気持ちに。

あたしが椅子に座るのを確認した彼は、微笑んでからお弁当の包みに手をかけた。

< 90 / 212 >

この作品をシェア

pagetop