短編集*虹色の1週間
・・・これも、ジャパニーズ・ジョークなのだろうか。
ジョージは、陽気なアメリカ人のお面をかぶりかけたまま、考え込んでしまった。
アナタワ、ワタシノ、オーヤサン。
えぇ、分かってますよ?
毎月5万2千円、払いに行ってるじゃないですか。
あれ、家賃なんですが。
・・・このオバーサン、ぼけちゃったのかな。
ジョージの脳裏に、一抹の不安がよぎった。
実は、大家さんがなぜか片言の日本語でこの「大家宣言」をするのは、これが初めてではなかった。
先週の水曜日も、その前の水曜日も。
気づけば、もうひと月になろうとしている。
「ワターシワ、アナータノ、オー、ヤー!」
「ワターシワ、アナータノ、オー、ヤー!」
反応に困ったジョージが中途半端な苦笑いを浮かべると、ミサエは満足そうににっこり笑う。
なんだかさっぱり分からないけど、ミサエが笑うので、ジョージも笑ってすませていた。
大家さんは、一体何が言いたいのだろう・・・。
あ。
もしかして、家賃を早く払ってとか、そういうことなのかな?!
ジョージは、
「すみません。今手持ちがありません」
というのを、なんとかして伝えようとした。