短編集*虹色の1週間

そのとき、向かいの家から、さっき一緒に帰ってきた子どもたちがランドセルを置いて出てきた。

ミサエが、一番大きな子どもに声をかける。
「イチロー、おやつ食べるかい」

「うん!」

子どもたちは、置いてあった菓子椀の中の麦せんべいに手をのばす。
次々と手に取ると、頬張りながら走ってどこかへ遊びに行く。

「大家さん、ごちそうさまー!」

「気ぃつけるんだよぉ」



「・・・さ。あんたもおあがり」

子どもたちを見送ると、ミサエは菓子椀をジョージにも向けた。
ジョージは自然と濡れ縁に腰を下ろし、勧められるままに、麦せんべいをかじった。

わ、固っ!
味気もなんにもない。

続けて、茶碗の液体を一口。

わ、まずっ!
消毒の匂いがする。

目を白黒させているジョージを、隣でミサエがニコニコして眺めている。

「うまいじゃろ? よかったよかった」


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