短編集*虹色の1週間
「ありがとう」
最後にそう言われたのはいつだったろう。
みんなの言いなりになるのがつらくなって、気づけば一人家の中にこもる日々が続いた。
それでもやっぱり・・・
わたしは、誰かの役に立ちたいようにできているらしい。
不器用だけど、さ。
あの人だっておっちょこちょいだけど、一生懸命がんばってるんだ。
わたしにもきっと、できることがあるはず。
サラ男に言われた「ありがとう」の響きが、じんわりと美帆の体温を上げていく。
美帆は空を見上げた。
店のスモークガラス越しには見えなかった青空。
まぶしくて、そして暑い。
午後の強い日差しが道路に反射して、美帆の顔が輝いて見えた。
そろそろ・・・
「定休日:毎日」を卒業して
営業を再開しようかな。
初夏の太陽の、光と暑さを一身に受けながら、美帆はそう思った。
【定休日は木曜:完】