短編集*虹色の1週間
「良かったですね、オバケじゃなくて」
階段を下りていく二人。
小林はもう、すっかり元気を取り戻してジェイソンの前を歩いている。
極度の緊張で気持ちの糸が何箇所か切れてしまったらしく、小林は変な高さのテンションで一人喋り続けている。
「それにしても、ホント人騒がせな先生ですね、アハハ」
「まだ膝に力が入らない、エヘヘ」
管理人室にたどり着くと、ジェイソンは出口に向かおうとした。
「じゃあ、私はこれで」
それを聞いた小林が、突然、ジェイソンに再び飛びついた。
「ちょ、ちょっと待ってください!」
「なんですか!」
「お願いします、見捨てないでください!」
小林が、必死の形相でジェイソンの顔を見上げる。
「午前2時にも、もう一度見回りがあるんです!」