僕の夏休み(メガネっ子のいた夏…)



あれは、小学2年生の夏の暑い日だった。




僕は、両親と一緒に、父親の田舎に、帰省した。





着くや否や、おばあちゃんへの挨拶もそこそこに、麦藁帽子と虫捕り網を持って、肩から虫篭をぶら下げながら、裏山に、クワガタやカブト虫を捕まえに出掛けた。





山と言っても、一週一キロにも満たない小さな山なので、子供一人で遊びに行っても、まず迷う事はない!





何時もの様に虫捕りに夢中になっていると、山の中にちょっとした広場があり、そこに、チョウチョと話でもしてるかの様に見える少女がいた。





生い茂った木の間を縫って、少女に射す光が、まるでスポットライトの様にみえた。





少女は僕に気付くと、一番近くの、一番大きな木の陰に隠れた。





「驚かせてゴメンね!」
僕が声を掛けると、ゆっくりと、少女が木の陰から顔をだした。





少女を見た瞬間、僕の胸の奥がキュンと音を立てて熱くなった。





僕とメガネっ子“柚”との出会いであった。










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