僕の夏休み(メガネっ子のいた夏…)
―また、会えたのに―
次の日、僕は早起きをして、また虫取りに出かけた。
お昼には、おばあちゃんの家を後にして、自宅にかえるから、その前にどうしても、カブトムシの雄を、捕まえたかった。
一時間くらい探し回ってやっと、木の中腹に蜜を吸ってるカブトムシの雄を見つけた。
だけど、どんなに頑張っても、カブトムシまで虫取り網は届かなかった。
一旦、おばあちゃんの家に戻り、一番軽い、3段の脚立を持ってきた。
帰って来るまで居るか、心配だったから、全力で走った。
近くまで来て、居るのを確認した。
呼吸が調うのを待った。
それから、脚立をそっと立てて、脚立の一番上に登り、背伸びをして、虫取り網をいっぱいに伸ばすと、なんとか届きそうになった瞬間!
僕は、バランスを崩して、脚立から落ちた…
気が付くと、昨日のメガネっ子がいた。
何も言わずにこっちを見て微笑んでいた。
起き上がって、そっちに行こうとすると…
「来ちゃダメ!」
と、険しい顔で叱られた。
その内に、母親の呼ぶ声が聞こえて来て、僕は目をさました。
後から聞いた話しだと、どうやら1日中昏睡状態でいたらしい。
メガネっ子の事は誰にも話さなかった。