僕の夏休み(メガネっ子のいた夏…)
―メガネっ子のいる夏―



幸い怪我は大した事はなかった。様子を見るために、今夜は病院に泊まる事になった。



僕は、消灯時間になる前に、眠り込んでいた。



何時頃か解らないが、気が付くとメガネっ子が傍にいた。



メガネっ子があの時と同じ微笑みを浮かべながら…
「元気になって、よかった!」
と、いった。



「虫取り、楽しかった。ずっと忘れないね。
メガネ褒めてくれてありがとう。」



そう言い残すと、スーッと姿を消して行った。



あの時、僕は、起きて居たのか、夢だったのかさえ解らなかった。



ただ、それがメガネっ子が最後にお別れを言いに来たと言う事だけは解った。



昨日のあの救急車のサイレン。



あれは、交通事故で病院に運ばれる途中のメガネっ子を乗せた、救急車のサイレンだった。







あれから20年。



また夏が来て、僕はあの夏祭りの会場にいる。



勿論、メガネっ子と一緒ですよ。



エッ?



貴方には、見えませんか?



メガネっ子の姿が…









【完】
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