幸せの欠片
手に持っていたパジャマのボタンが
“ウソじゃないよ”
と言っている様な気がした。

「お母さんとはダメかもしれない。」
父の言葉が幼いあたしの心を貫く冷たい言葉だった。

数日後。
「ひかるはどうするの?」
ふいに4つ上の姉・香菜子に聞かれた。
「何を?」

「お父さんかお母さんかだよ。」
耳を疑った。
「なに言ってるの?」
そう聞き返すのがやっとだった。
耳を塞ぎたくなる今は一番聞きたくなかった台詞だった。
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