最後の階段 [ホラー]
「夏紀…夏紀…!」

辺りを見渡しているうちに、公園が目に入った。

少し大きい公園。

噴水の広場みたいな所と遊具がある広場とグラウンドがある公園。

遊具の広場とグラウンドは見通しがいいが噴水の広場の周りは木が生い茂っていて中に入らないとほとんど何も見えない。

俺は一か八か公園へ入った。
走りながら公園を一周する。
噴水の広場も全て見たが夏紀はいなかった。

「夏紀…!」

俺はその場にしゃがみ込んだ。

いってくるね、と夏紀は夕方の5時半に家を出ようとした。
仕事で疲れきっていた俺は適当に返事をする。
今日バイト終わるの12時だから先に寝てていいよ、と笑顔で俺に言ってくれた。

6時前に夏紀からメールが入ってきた。
『お風呂ちゃんと入ってね。
晩ご飯は冷蔵庫。温めて食べて。
食器は流し台まで持って行ってね!』

何気ないメールを俺は読んで返さなかった。
いつもは返すメールを今日は返さなかった…。

仕事で疲れて帰って来た俺を横目にバイトに行く夏紀にイライラしていたからだ。

現場仕事をしている俺。
確かに日給月給だが夏紀と俺が暮らせる分は稼いでいる。
なのに夏紀はバイトを辞めなかった。

貯金したいから、と言う理由で。
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