勇者に従え!
朝起きると膝の裏がテンテンと赤く腫れていた。
どうやらベッドにダニが居たらしい。最悪だ。
マズい食パンをかじりながら、勇者はこれから先の旅の予定を立てようとしていた。
自分はまだタマゴを脱したばかりの半人前の勇者なのだ。
しばらく旅をして勇者に必要な知識や教養を身につけた後に、もう一度あの村に戻らなければいけない。(出来れば二度と帰りたくないと勇者は思っていたが)
そして、そこで一人前と認められて初めて『本物の勇者』になれるのだ。
『本物の勇者』になったあかつきには、世界の平和を守る英雄として、全ての人々から尊敬と感謝の念を贈られるらしい。
少なくとも勇者はスクールではそう習っていた。実際の所はさておき。
「取りあえず、当面は資金稼ぎと名声を広める事を重点的に旅をしていこう‥」
机の上に散らばったパンくずを払いのけながら、勇者は独りごちた。