未完成な僕ら
4月11日
ガタンガタン……
神崎実都(カンザキ ミト)は、目を瞑って電車に揺られながら昨日のことを思い返す。
「あのね、…」
その言葉から母親の説教が始まった。
昨日は実都の高校の入学式だったのだが、両親は仕事の都合がつかなかった。
だから、実都は1人で学校に行くことになっていたのだが、親が来ないのをいいことに、入学式をサボった。
来賓の挨拶とかそんなんばっかでだるいし、同じ中学から進学した人はいないから、行ってもつまんないだろうと思ったから。