【完結】キミと運命と裏切りと涙。







そう言って声を押し殺して泣きじゃくる笹川。


俺はそんな姿をただ見つかることしかできなかった。




「……麻衣、大丈夫。大丈夫だよ」


「ヒックッ……」


「麻衣にはあたしがついてるから」




今まで笹川がこんなに泣きじゃくったことはなかった。


でも笹川は俺の前で決して涙を見せなかった。




「麻衣ちゃん、そんなに辛かったんだね」


「……ああ」




できれば笹川の涙を拭ってあげたかった。


大丈夫だって抱きしめてやりたかった。




……でもいまの俺にはそんな資格ない。
< 148 / 544 >

この作品をシェア

pagetop