【完結】キミと運命と裏切りと涙。
笹川はそう冷たく言い放ち、冷たい視線を俺に向けた。
「……ごめん」
その瞳の奥を見た時、俺には彼女が冷たい人間なんだと悟ってしまった。
「いえ、あたしこそすいません。……失礼します」
笹川は軽く頭を下げてから早足でその場を立ち去って行った。
「……っ」
俺は壁に寄り掛かりずっと考えていた。
"あの人は母親なんかじゃない"
笹川はなんであんなことを言ったんだろう……。
自分の母親をあんなふうに言うなんて、俺には考えられなかった。
たしかに母親に反抗することはあったけど、母親をサイテーと思ったことは一度もなかった。