【完結】キミと運命と裏切りと涙。
*Episode2*〜過ぎ去った過去〜
Side咲哉
「咲哉、大丈夫?」
「……ああ」
"どうして生きてると、辛い目にばっかり遭うんでしょうね……"
あの日笹川は、切なげに微笑みそう言った。
その時俺はなにも言うことができなくて、ただずっと瞳の奥を覗くように笹川を見つめていた。
そして笹川は、俺を見つめ返すことなくあの言葉を口にした。
"……人間って、残酷な生き物ですね"
その言葉の意味は、笹川本人がよくわかっているような気がした。
その言葉を呟いた時、笹川の目は俺じゃなくて他の所に向いていた。
……でもその目は、とても冷たかった。