ちいさいものがたり《仮》
「…待って。俺も行く」
別れたはずなのに創君はわたしを追いかけてきました
「…あれ、どうしたの?」
「俺が原因だから、一応」
そういって創君はわたしの隣に並びました
わたしは思わず笑みをもらしました
創君としゃべったのはあの時以来だし、こんなに近くにいることが信じられませんでした
「創君って結構しゃべるんだね」
「え…。まぁ…人間だから」
「創君って結構おもしろいね」
「そんな、おもしろい?」
「創君、クラスでもそうやって話せばいいのに」
「…一人の方が楽だから」
「そーかぁ…楽なんだ」
「…創君、お財布壊れてなかった?さっきさ、豪快に転んじゃったから…」
「うぁ?…あー大丈夫」
「それなら良かった」
そうこうしているうちに保健室の前についてしまいました
「あ、ありがと。ついてきてくれて」
「いや、俺原因だし。…あ、あのさ、名前、教えてくんない?」
「わたしの名前?前田千都(まえだちと)だよ」
名前を知られていなかったことにちょっとがっかりしながらもわたしは笑顔で答えました
「ありがと。じゃあな」
あまりにもあっけなく創君は去って行ったのでした