狙われし王女と秘密の騎士

小さい部屋で、ソファーが置いてある。
しかし部屋に入るが鍵はついてないようでカイルは軽く舌打ちした。


「こっちだ」


カイルに引っ張られるままテラスに出る。
部屋は二階で塀が目の前にあり、外の通りが見える。
カイルはテラスの手すりに身を寄せてそれらを見てから振り返った。
後ろからは守衛が部屋に飛び込んできていた。


「ど、どうするのっ!?」


動揺した声でカイルを見上げると落ち着いた表情で構えていた剣を黙って鞘に納めた。


「カイ……」


そのままグイッと私を引き寄せる。
体はすっぽりとカイルに収まった。ドキッとして見上げようとするが、その頭を包むように押さえられる。


「ここは塀の真上だ。外へ飛び降りるぞ」
「え……?あ、うわぁぁっ」


つまり塀の向こう側へ飛び降りるつもりなのだろう。カイルは荷物のようにひょいと私を抱えた。
言葉を発する間もなく足はテラスを越え、そして思いっきり外へと飛び降りたのだ。




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