狙われし王女と秘密の騎士
第四章
旅人の素顔
あれから私たちは直ぐに荷物をまとめ宿を出てサルエル領土であるこの町から出て行った。
夜中の騒ぎを聞いたサルエル兵士が町をうろついていたが、お頭が先を歩くことでその影にひっそりと身を隠し、なんとか上手く回避出来たのだ。
まぁ、お頭には思いっきり呆れられたけど。
ひたすら謝る私に気持ちはわかると笑って許してくれた。
お頭は図体も大きく、豪快で熱い人だが気持ちは優しい。
実際に私のことも可愛がり面倒を見てくれているのだから、その気持ちをもう裏切りたくないと思った。
しかし、あれからカイルとは実はまだちょっと気まずい。
いつものように話はするが、ふとしたときにカイルの表情が固くなる。
それは多分私のせいだろう。
カイル相当怒ってたし、心配もかけたのだからまだ頭にきているのかもしれなかった。
国を救いたいと大きな野望を持った小娘(カイルからしたら坊主か)に力を貸そうとしているのに、あんな勝手に無鉄砲なことされたら怒るのは当然だ。
こんな奴、嫌いになったかもしれない。
そう思うとギュッと心臓あたりが苦しくなる。
何故だかわからないけど、悲しくなって苦しくなるんだ。