狙われし王女と秘密の騎士
突然、室内に響き渡ったその声に驚き、振り返って見ると背の高い男性がこちらに笑顔で歩いて来た。
その姿を見てカイルが立ち上がる。
「カイル。久しいな!帰っているなら連絡くれれば良かったのに!」
笑顔で差し出された手をカイルも笑顔を作りソッと握り返す。
「兄上。お久しぶりです」
兄上って、ではこの方がカイルのお兄さんなのか。
つまりナリエル国第一王子。
スラッと背の高さはカイルと同じだが、その男性の顔立ちはあまりカイルとは似ていない。
造り的には同じく整っているが、童顔で肌色は白く、カイルが正統派のイケメンなら、お兄さんは笑顔の可愛いタイプといった感じだ。
そんな印象を持って二人を眺めていると、第一王子が私に気がついた。
「こちらは?」
「エルシール国王女、シュカ姫殿です」
カイルの丁寧な紹介になんだかくすぐったくなる。
紹介され、私も立ち上がって一礼をする。
「王女!?少年のようだが。ではカイルの報告は確かだったのだな」
私の姿に驚いた様子だったが、すぐに笑顔を見せた。
「大変だったね。噂は聞いている」
「はい。お初にお目にかかります王子。シュカと申します」
「カイルの兄でディルです」