狙われし王女と秘密の騎士
すると、ハッとしたようにお頭がその場で平伏をした。
床に頭を擦り付けている。
「申し訳ありませんでした!お二人のこと全く気がつかなかったとはいえ、とんだご無礼をっ!」
「お頭、やめてってば」
お頭の肩を擦りながら私も膝をつく。騙していたのはこちらなのだから謝られては居心地が悪い。
「姫様っ」
お頭は涙目になって私を姫様と呼ぶが今さら仲間にそう呼ばれることが違和感だ。それに大きい身体に涙は不釣り合いである。
「謝るのはこっちだよ。黙っててごめん。ねぇ、お頭にとって、私は一生シュリだよ。お頭は私の仲間で、その仲間にそんな風にされるのは嬉しくない。これからもお頭にはシュリって呼んで欲しい。態度を変えてほしくないよ」
お頭にそう懇願すると嬉しそうにする反面、当たり前だがやはり戸惑いは見られた。
「シュリ……。でもそれじゃぁ……」
困るお頭に、カイルはため息をついた。
そしてカイルも隣に膝をついてお頭を見つめる。
「なら、命令しようか?その方がお頭の気持ち的にいいなら。俺らの身分なんて気にせず、今まで通り接すること。どう?」
命令といいつつもそんな風に聞こえない口調でカイルはお頭に聞いた。
「カイルさんっ…うぅぅ。はい!」
泣きながらも嬉しそうなお頭にこちらもほっと笑顔になる。
スッキリしたのか部屋に着くまでにはお頭もすっかりいつも通りの頭に戻っていた。