狙われし王女と秘密の騎士
そのままカイルとライの案内で部屋に通される。
お頭にはライが部屋の説明につき、私はカイルの案内でその奥の貴賓室へ連れていかれた。
やはりそこは王族としての扱いとなる。
部屋のなかは落ち着いた雰囲気はあるものの豪勢な作りである。
「今、世話をする侍女を呼ぶから着替えや身の回りの事はその者に頼んでくれ」
カイルは部屋の説明をザッとした後、そう言って部屋を出ようと扉に向かった。
「カイル」
私の静かな声にユックリと振り向く。
まるで私が呼び止めるのがわかっていたように。
黙って私の言葉を待っている。
「いつから、王女だって知ってたの?」
玉座の間で明かされたこと。聞きたかったけどあの場では聞けなかったのだ。
カイルはあの長い旅の中で、いつ私の正体に気が付いたのか。
カイルはちょっと床に目線を落としてから私を見た。
「初めから、気が付いていた」
「初めから!?」
「お前が、エルシールでサルエル兵士の列に石を投げただろ?あの日から」
カイルと初めてあった時の事だ。
サルエル兵士に石を投げ、カイルが私の手をとって逃げた。
まさか会ってすぐに正体がばれていたなんて。
「あの時はおかしなガキだと思った。馬鹿な事をして、って」