狙われし王女と秘密の騎士
「その時、めくれたローブから短剣が見えた。刻まれた紋章も」
あの時見えていたのか。
その短剣は今も私の背にある。私が王女という唯一の証拠。
「見間違いかと思った。まさかと。だから後から人を使ってこっそり調べた。結果、間違いではなかった」
そんなことをしていたなんて気が付かなかった。しかし、カイルは定期的にライと連絡をとっていたようだし、カイルの正体がわかった今それくらいしていても不思議ではない。
「知っていて、着いて来てくれていたの?」
「初めは、本当にただの興味だった。王女が男装までしてどうするのか、どうしたいのか見たかった。でも、お前の国を救いたいって気持ちに、いつしか協力しようと思ったんだ」
淡々と語るカイルに、なんだか切なくなった。
私が国のためにどうするのか興味で側にいたのか。
ただの興味で?
「それだけ?」
思わずついたセリフに自分でもドキッとした。
私は何を聞きたいのだろう。
「……そうだけど?」
低いその声に、また胸がぎゅっと苦しく感じた。