狙われし王女と秘密の騎士
「あっそ」
そのよくわからない気持ちを隠すように私は苦笑する。
そして努めて明るい声を出した。
「フェアじゃないのね。王子だって言ってくれれば良かったのに」
「俺はいつも所在不明だからな。何一つ王子らしくねぇし?」
おどけて苦笑するカイルに私も微笑む。
うまくかわされた。
玉座の間からいろいろと気になる点はあったが、今は聞くタイミングではないと思った。
聞いたところでカイルは話さないだろう。
「じゃぁ」
「うん……」
カイルは扉に手をかけ、一度足を止める。そして何故だかもう一度こちらを振り返った。
「どうしたの?」
「いや」
何か言いたそうな様子だったが、私を見つめただけで扉を開けて出て行ってしまった。