狙われし王女と秘密の騎士
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出発準備が整い、三日後にでも出立することになったと聞いたのは午後のことだった。
すべてが決まる。
そうなったらなったらこの長い苦しみからも解放されるのだろうか。
そして、父王やルカや多くの家臣の無事を祈るしかない。
いろんな思いが胸を締め付け、息苦しさを感じた私は部屋のテラスに寄り掛かりため息をついた。
穏やかな日差しの中に吹く風に大きく息を吸い込む。
ほっとした所で、何気なく広い庭を見ているとフッと視界に何かが入り、私は目をこらした。
誰かがこちらに手を降っている。
よく見るとそこにはディル王子が笑顔で私を呼んでいた。
おいでおいでと手招きをされ、私は庭へ向かう。