狙われし王女と秘密の騎士



「ごめんね。わざわざ」


庭に降りた私に笑顔で出迎えながら呼びつけたことをディル王子は悪びれる様子もなく謝った。


「いいえ。それにしても綺麗な花ですね。これはディル王子が?」
「うん。まぁね。薔薇が好きなんだ」


庭に咲き乱れた薔薇の花は綺麗に咲き誇っている。薔薇はディル王子の趣味だと聞いていたのですぐにディル王子の趣味だとわかった。
この王子が国を継ぐと街中、薔薇多くなりそうだ。
それくらいに立派な薔薇だった。
すると、ディル王子はにこやかに振り向いた。


「カイルはどう?」
「どうとは?」


言葉の意味がわからず首をかしげる。


「君の前ではどんな感じかなって」
「普通ですよ。あぁ、言うなら陛下の前での雰囲気とは違いますけど」


父であっても国王だからか、カイルは陛下に対して他人行儀だ。
しかし、それはカイルだけではなく、諸国の王子殿下はそういった態度を取るものは少なくない。


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