狙われし王女と秘密の騎士
「そうか。なら君の前では笑う?」
「えぇ。普通に笑って怒って……」
「そうか」
そう呟いてディル王子は空を見上げた。
その表情はなんとなく寂しそうだ。
しかしどうしてそんなことを聞くのだろうか。
「あの、カイルのことならディル王子のほうがよくお分かりなのでは?」
そう聞くとディル王子は自嘲気味に笑う。
「本当はそうあるべきだよね」
「え?」
「カイルと数ヶ月しかいない君の方があいつの本当の顔を知っているようだよ」
「ディル王子?」
どういうことかわからず名前を呼ぶと、王子は側にあったベンチに座るよう身振りをする。
並んで座ってから、王子はゆっくりと語り出した。