狙われし王女と秘密の騎士



「僕とカイルは、同い年なんだ」
「同い年!?」


同い年って?
カイルは第二王子だ。
それなのに同い年の兄弟と言うことは、とすぐに合点がいった。
王族には珍しいことではないあれだ。
私の予想を見抜いたのか、ディル王子は頷いた。


「そう、異母兄弟だ。僕は正室の子どもで、カイルは側室の子ども」


やはり、と思った。
よくあることだ。
国によっては王族の血を絶やさぬよう、王になると何人かの側室を設けるところがある。
そして多くの子どもを産ませるのだ。
私の国ではそうした側室はいなかったが、この国ではいたのだろう。


「誕生日が僕の方が早いんだ。だから必然的に次の王は僕になる」


ディル王子は再び空を見上げる。
ディル王子が正室の第一王子なら、なんの問題もなく国王を継げるのではないだろうか。
しばらく城に滞在していたが、王子同士の跡継ぎ問題はないように思えた。
なのになぜそんな複雑そうな表情をするのたろう。


「ここではカイルはずっとああだ。どこか他人行儀でよそよそしい。側室の子どもで第二王子という肩書きから、僕には一歩引いた態度を取る。僕としてはお互い母が早くに亡くなっているから、兄弟として歩み寄りたかったけど」
「けど?」
「カイルは、ここから離れたがっていた」


離れたがっていた?




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