狙われし王女と秘密の騎士
そして、ついにその日は来た。
内密な出軍なため、出陣式は簡素に行われた。
カイルは騎士のように甲冑を身につけている。
私も同じように軽くて少量の範囲の甲冑を身につけていた。
「姫を必ずやお守りするように」
国王にそう声をかけられ、カイルは強い眼差しで返事をする。
「必ずや俺の手で守ります」
その力強い言葉に胸が締め付けられる。
なぜか泣きそうになった。
しかし、今はそんな感傷的になっている場合ではない。
グッと気持ちを押さえ、深呼吸する。
「行こう」
カイルに促され、頷いた。
ここからは戦場だ。
無駄な想いは忘れ、ひたすら勝つことを思わなくてはならない。
一瞬の気の緩みが命取りになる。
馬に乗り、私たち一行はエルシールへ向けて出発したのだ。