狙われし王女と秘密の騎士

頭はゆっくり慎重に頷いた。
このお頭もいなくては、私はここまでこれなかった。
全てに感謝の気持ちで頭を下げると大きくて肉厚な手が私の頭をぐしぐしと撫でる。
3人顔を合わせ、にまりと笑い、お頭は街へと降りていった。


そして、ついにその時は来た。

一陣が動き出したのか、空気が動く。

私達は静かに動き出した。

緊張で思わず身震いをすると、隣のカイルが私の手を力強く握りしめた。
顔をあげると、揺るぎない強い目線で微笑まれる。
私もそれに答えるように手を握り返した。
それだけで、一気に震えが治まる。


城へ向かうなか、ふと見上げると、赤く大きな新月が私達を照らしていた。

赤い月。


私が城を出た時と同じようにーーーーーー………











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