狙われし王女と秘密の騎士
「おい坊主。お前、サルドアが嫌いなのか?」


坊主って……。
何故かこの人に男と間違われたら何となくムッとした気持ちになった。
なんだろう。まぁ、いい。
男に思われてるってことだ。それはそれで都合がいいのだから。
私は男の質問に顔をしかめて答えた。


「嫌い。大嫌い。それにこの国はサルドアの物になってしまった」
「まぁな。しかし、サルドアの物になれば、国が豊かになるかもしれない。現にサルドアは発展しているぞ」
「っ!何が言いたい!?」


腹を立てる私を男は面白そうに見つめる。
その目にカチンときて、男を睨んだ。
しかし、男は涼しい顔で私を見る。


「別に、ただそう思っただけだ」
「あなたにはわからないんだ!サルドア国王がどんな奴かっ!」


サルドア国王は欲しい物はどんなことしても手に入れようとする。
そう。夜襲という卑怯な真似をしてでも。
卑劣な男だ。
サルドア国王に対し唇を噛んでいると、目の前の男は首を傾げた。


「なら、お前は知っているとでもいうのか?」
「それはっ……」


……言えないけど。
サルドア国王を知っているなんて言えない。
サルドア国民でもないのに一般市民が国王を知っているなんて変な話だ。
この国の王女とも言えるわけがない。言い返すことが出来ず、唇を噛む。

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