狙われし王女と秘密の騎士
西の塔からは、ナリエル国に帰るカイル達の軍隊が小さく見えた。
先頭には厳重に囲まれ馬に乗るカイルが見える。
その姿は本当に小さくて。
小さくて小さくて。
私達の距離を示しているようだった。
「シュカ姫様!」
ルカが息を切らして階段を登ってきた。
「姫様! カイル王子、行ってしまわれましたよ」
「うん……」
「よろしいのですか!? ちゃんと話しはしましたか!?」
ルカが私の腕を掴む。
その物言いたげな表情に、微笑むとルカの顔が悲しげに歪む。
「ルカ」
「だって……」
「カイルは第二とは言え、一国の王子なんだよ」
そして私はそっとルカの手を離す。
「部屋に戻ろうか」
私はルカの手を引いて、階段を降りていった。
ルカと手を繋いでいないと走って追いかけそうだったから。