狙われし王女と秘密の騎士
カイル見つめると、こちらを見て余裕そうな表情でフッと笑う。
大丈夫だと。
それだけでなんだか少しほっとした。
「こいつらはこの村を狙う盗賊か?」
私に隠れていた少年が小さく頷く。
「おいら、てっきりあんたらもこいつらの仲間かと思って……」
「なるほどね」
カイルが苦笑していると、遠くから女の人が駆けてきた。
「母ちゃん!」
少年は母親のもとへ駆けて行った。
すると、その頭をぺしんと叩かれた。
「このバカ!また一人でこんなことして!危ないだろう!」
小太りのその女性は少年の母親のようだ。
少年は頭を擦りながら母親に何か話している。すると母親は私達に目を向け深々と頭を下げた。
「助けていただいたようで、本当にすみません」
「いいえ。でも、しばらくは心配ないと思いますよ」
カイルは必死に逃げている盗賊達を指した。
いつの間にか気がついた盗賊は体を引きずりなからこの場から逃げて何処かへ行ってしまった。
「兄ちゃん達、その、ありがとう」
照れたように少年は呟いた。
なんか…かわいいなぁ。
その姿に笑みが浮かぶ。
「おう、坊主。これからは無茶するなよ」
笑うカイルに少年はコクンと頷いた。