狙われし王女と秘密の騎士
きっぱりとそう告げる。その黒い瞳は決意したように真っ直ぐだ。
「ルカッ」
私は青ざめて首を振る。
ルカの考えが手に取るようにわかる。
それくらい私達は長く一緒にいたんだもの。
幼いころからずっと一緒だった侍女のルカ。
大切な友達。
見捨てるなんてできないよ。
身代わりになんてさせたくないよ。
一緒に逃げようよっ。
そんな私の思いにも、彼女は決して頷こうとはしなかった。
「シュカ姫様。あなたはこのエルシール国の王女として、決して死んではならない」
「でもっ!」
ルカは掴んでいた私の手を無理矢理離し、扉の奥へと突き飛ばした。
「振り返ってはなりません。生きるのです!」
「ルカー!」
その言葉を最後に扉は無情にも音を立てて閉まった。