狙われし王女と秘密の騎士
国の政に参加した村の男性陣を誇りを持っているようだ。
「だから残された者はしっかりしなきゃいけないのさ。寂しいなんていってらんないのよ」
「逞しいな」
「ハハ。しかし、助かりました。二人があの盗賊をやっつけてくれたから。安心よ」
明るい母親の笑顔に少しホッとした。
「二人はどこかへ行く途中だったのかい?」
「まぁ。隣街まで……」
私はかい摘まんで、経緯を話した。
サルドアに喧嘩を売ってしまい、多分目をつけられた可能性もあるから少し離れた街へ向かっていること。
「そうかい。大変だったね。しかし、夜までに間に合うのかい?」
「……厳しいな」
カイルは苦笑いした。
確かにまだ距離はあるのに、辺りは夕方の雰囲気になってきていた。
隣の大きな街へ行くには日がくれて危ないだろう。
「そう。なら、今日はこの村でゆっくりしたらどうだい?」
「えっ、でも」
「こんな小さな家でも良かったらね。なぁに、サルドア兵士もこんな小さな村を細かく調べたりはしないさぁ」
「ねぇ!兄ちゃん達!そうしなよ!」
バルは嬉しそうに目を輝かせている。
カイルをチラッと見ると カイルも私を振り返った。
「お言葉に甘えてそうするか、シュリ」
「う、うん」
「そうと決まったら腕を振るって夕飯を作るわ」
そういって張り切ってキッチンへ立った。