狙われし王女と秘密の騎士
「こどもにはまだ刺激が強いな」
「たった3つしか違わないだろっ」
私はムッと言い返した。
カイルの無言の笑顔がムカつくなぁ。
ああいう女性への扱いにも慣れていそうだし。
なんだか面白くなくて、私は歩みを早めわざと隣のカイルを抜かし、前に出た。
と、その時、
ガッシャァン!!
扉が壊れるような派手な音と共に、真横の店から男がこちらに吹っ飛んで来た。
「うわぁぁっ!?」
「いってーっ!!」
男とともに私も道に派手に転がる。
な、何事!?
突然の事に理解が出来なく、ただ転んだ状態のまま顔を上げてキョロキョロするばかり。
周りには野次馬が遠巻きにこちらを見ている。
起こったことが何かわからずキョトンとしてしまった。
そんな私の前にカイルはしゃがみ込み、真剣な眼差しで深く頷いた。
「見事な吹っ飛ばされ方だった」
真剣な顔で言うこと?
しかも隣にいたはずのカイルは無傷のようだ。
さっきのことといい、何だか腹が立ってきた。
「なんか俺、今カイルを殴りたいかも」
「そりゃぁ、八つ当たりか?殴るならお前を吹っ飛ばしたそいつにしろよ」
カイルがあごでクイッと後ろを指す方を振り返ると赤ら顔の男が地面に転がっている。
酔っ払いの喧嘩だろうか。