狙われし王女と秘密の騎士
「こーゆう、可愛い男が好きなの!!」
そう言ってピッタリと私に寄り添う。
美女が言う男が私とわかるまで数秒かかった。
驚いて美女を見つめるとニッコリ微笑まれた。
「えぇぇっ!?」
「そんなガキをかぁ!!」
「ムサイ男は飽きたの」
私の叫びに男は怒ったように怒鳴った。
ピトッと寄り添う美女に慌てる私と、ワナワナと怒り顔でこちらを睨みつける男。
周りの人々は面白そうにこちらを見ている。
なんか、面倒な事になっちゃったなぁ。
カイルに助け船を求めるように見つめるが、腕を組んでニヤニヤと見ているだけだった。
「じゃぁねん」
そう言って、美女は私の腕を掴んだまま、店の中に戻った。
振り替えると男はうな垂れて座り込んでいた。
店の中に入ると一気に静かになる。
「あ、あのっ!」
「あぁ、ごめんなさいねぇ」
美女は微笑んで私の腕からスッと手を離す。
もう一度振り返り、窓の外を見るが男はもう道にはいなかった。
野次馬ももういない。
店のなかも人はおらず、美女は私たちを手招きして座るように促す。
「お詫びにお茶でも飲んで行ってよ」
「はぁ。あの、良いんですか?さっきの人は」
「いいの、いいの」
気にしないでと手をパタパタふる。
美女は私とカイルにお茶を出してくれた。
店の中を見回すと、どうやらここは酒場のようだ。