狙われし王女と秘密の騎士
すっかり日がくれるまで美女の店に長居してしまった私達は紹介してもらった宿まで歩いていた。
気持ち悪い……。
私は美味しい料理と出された酒に酔っておぼつかない足下をフラフラしながら見つめていた。
「うぅ~………」
「ガキが飲み過ぎなんだよ」
「だって……」
カイルと宿へ行く途中、道の端でたまらずしゃがみ込む。
さっきの店でかなり飲み過ぎた。
「酒、初めて飲んだのか?」
「初めてじゃないけど……」
王宮の酒はもっと上品で、こんなに進められたりもしない。
あのお姉さん、次々いろんなお酒を持ってくるものだからつい飲んでしまった。
さすが客を相手にしている商売だけあって、あれこれ聞いてくるのがうまい。
ウッカリ素性言わないようにお酒でごまかしていたんだ。
「美女にあれだけ進められたら断れないもんなぁ~?」
「カイル、面白がっているでしょう?」
キッと睨み付けるがニヤニヤ笑って面白がっている。
カイルだって同じくらい飲んでいるはずなのに、少しも酔った様子はない。どれだけ酒に強いのだろうか。
「ほら、立てるか?」
面白がりながらも、それでもフラフラの私を支えてくれる。
グイッと立ち上がらせてくれた力強い手にドキッとした。
脱力している私をこんな軽々と持ち上げるなんて。
なぜか戸惑う私を気にもせず、さっさと宿に連れ帰ってくれた。