狙われし王女と秘密の騎士
するとカイルは荷物を背負い直す。
「じゃぁ、俺、出かけてくるから」
「どっか行くの?」
今、宿についたばかりなのに、再び出かけるようだ。
驚く私に振り返ったカイルはニヤッと笑う。
「お前も行くか?夜はこれからだぜ?」
「っ!?」
カイルのセリフの意味がわかり思わず赤くなる。
夜の街に出るってことは、つまり…。
「お、俺は行かない!ここにいるよっ!」
「ハハッ。そうだな。シュリにはまだ早い」
明るく笑い、じゃぁね~、とヒラヒラ手を振りカイルは出ていった。
その姿を唖然と見送る。
「っ…。なんてやつ」
昼間に誘ってきた遊女の所にでも行くのだろうか。
あんな整った顔なら女に不自由はしないだろう。
むしろ、困るくらいじゃないかな?
そう考えるとなんだか面白くない。
こども扱いにも腹が立つが、それ以外にもよくわからないムカムカがわいてくる。
きっと酔ったせいだ。そう決めつけて私はベッドに顔を埋めた。