狙われし王女と秘密の騎士
……ん?
いつの間にか眠ってしまったようだ。
部屋の中は灯りが消えていて、月の光に照らされてほんのり明るい。
体を起こし、お酒でボーッとした頭が少しずつ覚醒していく。
あれ…?なんで部屋の灯りが消えてるんだろう?
カイルが帰って来たのだろうか?
カイルとは同じ部屋を取ったが、部屋は狭いが、大きな衝立があるので、見た目は二間のようになっている。
カイルが戻って灯りを消してくれたのかと思ったが、何だかおかしい。
私は違和感を感じてベッドから降りた。
「カイル?」
しかしカイルは帰っておらず、狭い室内には私しかいない。
カイルもいないのに、なぜか違和感を感じるのだろう。
首をひねり、灯りを付けようと扉に近寄る。そして、ハッとした。
違和感…?
違う。
これは…。
人の気配!?
そう思った瞬間、バタンと激しく音がして、目の前のドアが突然大きく開いた。
勢いよく開いたドアに、私は思いっ切りぶつかり床に転がる。
痛みに耐えながら、顔を上げて抗議をした。
「ちょっと!カイル………じゃない……?」
てっきり酔っぱらったカイルが帰ったのかと思ったが、私の目の前に立つのはカイルではなかった。
部屋が暗いせいで顔は見えないが、もっと厳つい男。