狙われし王女と秘密の騎士
隠し扉は城下のとある森の中に続いていた。
そこから城下街へ向かう。
しかし、その異常にすぐに気が付いた。
「静かだわ……」
街の中は静まりかえっていた。
いや、正確には夜中にふさわしい状態であるということ。
敵も味方もいない。
国民は……街の人々は普通に眠っているようだった。
そうか。敵襲は城にだけ……ということか。
サルドア国は王座と我がエルシール国をキレイに乗っ取ったというわけね。
してやられた。
私は悔しくてギュッと唇を噛んだ。
平和条約を結んだというのに。サルドアは虎視眈々と我が国を乗っ取るつもりだったんだ。
許さない。絶対にサルドアを許さない。
拳を握って怒りに震えていると、後ろからガサッという音がして、ハッと振り返る。
そこには赤ら顔の酔っ払いが二人ふらふらと角を曲がってきた。
なんだ。ビックリした。
サルドア国の兵士かと思ったじゃない。
ホッと息をつくと、酔っ払いもこちらに気がついたようで、ニヤニヤ笑いながら何か話している。
嫌な感じだわ。
案の定、二人は千鳥足で声をかけてきた。