狙われし王女と秘密の騎士
「お嬢ちゃぁん。こんな夜中に何してるの~?」
「ひとりかなぁ?」
ニヤニヤしながらゆっくりと男達は近付いてくる。
厭らしい笑い。
こんなことをしている場合ではないのに。
こんなことをしている間にも城は攻め込まれている。
「ねぇ、一緒に遊ばないかい?」
「夜はこれからだし~」
下品な笑い声を上げる。
“これから”何をしようって言うのよっ。
私はジリジリと後ずさる。
しかし、男どもはその距離を縮めてきた。
ひとりの男が手を伸ばす。
その手をパシッと振り叩いた。
「私に触れるな。無礼者」
「無礼者?ハァ~ン!?なぁに言っちゃってるんだか」
「だいたい、こんなことしている場合ではないのよ!?今、この国が大変なことにっ……」
「大変なことぉ?」
男達はクククッと笑う。
何が可笑しいっていうのよ!?
「お嬢ちゃん、今の状況より、国が心配な訳?」
「そうよっ!だって…」
ハッと言葉を飲む。
だって王女だもの!
…とはさすがに言えない。
口をつぐむとさらに男どもは笑みを浮かべる。
「じゃぁ、俺らがそんな心配忘れさせてやるよ」
「国が心配ではないの!?今、城では大変なことに…」
「城の内部のことなんて俺らには知ったこっちゃねーよ。なぁ?」
「あぁ、それよりも、だぜぇ~?」
男達は厭らしい目つきで近付いてくる。
「あなたたちっ……」